2011 年 20 巻 6 号 p. 839-843
【目的】総大腿動脈(CFA)にステントが入った症例に対する当科での血行再建の経験を報告する.【対象と方法】CFAにステント留置の既往のあった3例に血行再建を行った.全例80歳代の跛行の男性.使用ステントは1例がballoon expandableで2例はself expandable.全例で鼠径部縦切開,外腸骨動脈(EIA)~CFA露出.EIA,浅大腿動脈(SFA),大腿深動脈(DFA)を遮断しCFAをステントごと縦に切開.ステントを含む肥厚内膜を摘除したのち大伏在静脈パッチを縫着した.術中腸骨動脈の造影を行い,有意狭窄のあった2例でステント留置.SFAへとステントが続いていた2例ではいずれもDFA分岐後の位置でステントを離断した.【結果】術後合併症はなく,全例で跛行が消失した.【結語】ステント留置後慢性期でも,ステントごと血栓内膜摘除を行うことは可能である.SFAに続くステントについてはDFA分岐直後でステントと肥厚内膜を離断するのみでも良い.