2012 年 21 巻 2 号 p. 137-140
感染性腹部大動脈瘤は腹部大動脈瘤の1~3%程を占め,手術法についてはin situ再建かextra-anatomical bypass(EAB)か今なお議論が分かれる.われわれは術前に脊椎炎・椎間板炎の合併を診断できなかった感染性腹部大動脈瘤に対しリファンピシン浸潤グラフト(rifampicin-bonded gelatin-impregnated Dacron graft; RGG)を使用しin situ再建と大網充填を施行した症例を経験した.感染性動脈瘤と脊椎炎・椎間板炎の合併の報告は少なく,その手術法にはEABも考慮されるが,感染性腹部大動脈瘤でも脊椎炎・椎間板炎においても背部痛があり,さらに脊椎炎・椎間板炎の初期には画像にも描出し難く手術前の診断が困難であった.しかしながら椎体炎の合併は手術方針にも影響を与えるため念頭に置く必要がある.