日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
本邦にて使用可能な企業製デバイスを用いた大動脈瘤ステントグラフト治療の工夫—デブランチおよびチムニー法とコイル塞栓手技の有効性—
福井 大祐和田 有子駒津 和宜藤井 大志大橋 伸朗寺崎 貴光瀬戸 達一郎高野 環天野 純
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2012 年 21 巻 3 号 p. 165-173

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抄録

【目的】2007年のSG治療開始以降,当科にて施行してきた大動脈瘤に対するSG治療の工夫について検討し報告する.【対象と方法】EVAR 310例・TEVAR 83例の治療成績と,高齢者やハイリスク症例を中心に筆者らが工夫してきたIIA塞栓併用EVAR 94例,ショートネックに対する腎動脈チムニー法併用EVAR 10例,TAAにおけるデブランチングTEVAR 20例,TAAAに対するデブランチングTEVAR(EVAR)3例を術式別に検討した.【結果】全SG治療症例における在院死亡症例は,IIA塞栓併用EVARの肺炎例とTAAにおけるデブランチングTEVARの脳梗塞例を含む3例(0.8%)であった.IIA塞栓併用EVARの4例(4.3%)に術後半年以降の臀筋跛行の残存を認め,3例(3.2%)に虚血性腸炎の合併を認めたが,全例保存的に軽快した.また,LZ 10 mm以下で腎動脈チムニー法を併用したEVAR症例は10例であったが,術後ELや腎動脈閉塞合併症例は遠隔期を含め認めていない.Zone 0をLZとするチムニー法を用いた9例を含む20例の2本デブランチングTEVAR施行のうち,ELの残存しているものは1例(5%)であった.TAAAに対する腹部4分枝をカバーし内臓動脈をバイパスにより再建するSG治療を3例に行い,全例経過良好にて独歩退院となった.【結論】今回検討したSG治療の工夫術式において,外科手技に加えてチムニー法やコイル塞栓術が有効であった.SG治療の工夫により,現在本邦にて使用可能な企業製デバイスを用いて,さらなる低侵襲治療が可能であるものと期待される.

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