2012 年 21 巻 5 号 p. 695-697
要 旨:長年にわたり右下肢に過重をかける仕事をしていた56歳男性で,膝窩部の網目状静脈瘤とともに膝関節屈曲不全と膝から腓腹筋部にかけ作業が不能なほどの激痛を認める症例に対し膝窩-小伏在静脈接合部での切離,小伏在静脈の抜去とともに接合部周囲の嚢状静脈瘤の切離を行った.手術後,腓腹部の緊満痛は軽減したが膝部屈曲不全は改善せず,膝上部に圧痛を認める嚢状腫瘤が残存した.ガングリオンとの鑑別に苦慮したがエコー検査で拡張した静脈と診断された.圧迫により漸次縮小し,1カ月の経過で屈曲不全は治癒した.エコー検査より,接合部から上方の嚢状静脈瘤内に血液がうっ滞し術後屈曲不全を呈していた稀な小伏在静脈瘤と考えられた.