日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
炭酸ガス造影を併用してステントグラフト内挿術を施行した破裂性腹部大動脈瘤の1例
栗山 充仁喜岡 幸央田邊 敦
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2013 年 22 巻 1 号 p. 65-68

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抄録

要  旨:既往歴に腸閉塞術後のある84歳女性.突然の右下腹部痛あり,腹部大動脈瘤切迫破裂の診断で当院紹介となった.来院時血圧は70 mmHgとショック状態で,血液生化学検査ではCr 2.23 mg/dlであった.造影CT検査で,最大径66 mmの破裂性腹部大動脈瘤および右側後腹膜血腫を認めた.画像所見と吐血エピソードからAAA破裂と消化管穿孔と推察したが,全身状態も悪く血液透析の可能性も考えられ,侵襲の少ないステントグラフト内挿術(EVAR)を選択した.屈曲症例およびコイル塞栓が必要で多量の造影剤が必要と思われたため,炭酸ガス造影と持続血液濾過を併用した.術直後より利尿を得られ,術後1日目に持続血液濾過を離脱可能であった.腹部の拍動は消失し最終Cr 2.07 mg/dlと腎機能増悪を認めず,術後35日目にリハビリ目的で転院となった.術後2カ月後の単純CT検査では,動脈瘤径と後腹膜血腫ともに縮小し経過良好である.

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