日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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原著
波長1470 nmレーザーによる下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術—bare-tip fiberとradial fiberの比較—
広川 雅之栗原 伸久
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2013 年 22 巻 3 号 p. 615-621

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抄録

要  旨:【はじめに】波長1470 nmのレーザーは水に特異的に吸収され下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術(EVLA)の合併症を減少させる.今回,われわれは側面から360度レーザーが照射されるradial fiberを用いて波長1470 nmレーザーによるEVLAを行い従来のbare-tip fiberと治療成績を比較検討したので報告する.【対象と方法】2007年10月より2010年12月までに波長1470 nmのレーザーを用いてEVLAを行った1次性下肢静脈瘤症例385例453肢(平均年齢58.8歳)を対象とした.光ファイバーとして従来のbare-tip fiberを用いた群(BF群)215例242肢とradial fiberを用いた群(RF群)177例211肢に分けて検討を行った.手術は光ファイバーを伏在静脈遠位側より深部静脈接合部まで挿入し,6~12 W(BF群)あるいは10 W(RF群)の出力で伏在静脈を焼灼・閉鎖した.【結果】全例の平均手術時間は42.6分,照射静脈長は36.2 cm,LEEDは83.4 J/cmであった.合併症はRF群ではBF群に比較して皮下出血(1.9% vs. 19.4%)および疼痛(0.9% vs. 7.4%)の発生が有意に少なかった.Kaplan-Meier法による治療静脈の累積閉塞率はRF群は術後2年8カ月で100%,BF群は術後4年で99.5%であった.【まとめ】波長1470 nmレーザーによるradial fiberを使用したEVLAでは従来のbare-tip fiberよりも皮下出血,疼痛が有意に少なく低侵襲な治療が可能であった.

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