2013 年 22 巻 4 号 p. 747-749
要 旨:61歳男性.動作時の両手の痺れと両下腿痛を自覚し受診.大動脈縮窄症と診断され,左右第3肋間動脈は嚢状の動脈瘤を形成し瘤化した根動脈と交通していた.前脊髄動脈盗血症候群による神経症状と考えられ,左鎖骨下動脈-下行動脈バイパスを施行し,肋間動脈・根動脈瘤の処理は出血や脊髄虚血の危険性を考慮し行わなかった.術後,下肢の虚血症状は改善し血圧管理も降圧剤を不要とした.CT検査でバイパスの血流により,逆行性の側副血行路の血流が減少し動脈瘤も縮小・消退したが,上肢の症状の改善は得られなかった.