2013 年 22 巻 4 号 p. 733-736
要 旨:症例はMarfan症候群の39歳女性.既往歴として,約7年間に計5回の手術で大動脈全置換が施行されている.以降,当院外来通院中であったが,左下腿拍動性腫瘤を自覚したため精査加療目的に入院となった.3DCTなどの精査の結果,最大径33 mmの腓骨動脈瘤を認めた.手術は内側アプローチにて瘤を露出・endoaneurysmorrhaphyを施行した.術前ABI正常で,前・後脛骨動脈はともに良好に開存していたため,再建は行わなかった.瘤壁の病理検査では,嚢胞性中膜壊死がみられ,内膜にフィブリン析出を伴い,Marfan症候群に伴う動脈病変に矛盾しなかった.術後は合併症なく,良好に経過した.腓骨動脈領域に発生する四肢末梢動脈瘤は極めて稀ではあるが,基礎疾患ゆえの他部位の動脈瘤の発生をふまえ,今後も厳重な経過観察が必要と考えられた.