2013 年 22 巻 5 号 p. 833-836
要 旨:腹部大動脈瘤による十二指腸水平部の圧迫,通過障害を来す症例は稀である.症例は88歳,女性.他院にて腹部大動脈瘤を指摘されていたが,高齢のため,経過観察となっていた.嘔吐,腹痛が出現したため,救急搬送となり,造影computed tomographyで,最大径6.7 cmの腹部大動脈瘤と胃,十二指腸の拡張を認めた.腹部大動脈瘤により十二指腸水平脚が圧迫され通過障害を来したAortoduodenal syndromeと診断した.経鼻胃管で胃内の減圧,点滴治療を行ったうえ,入院後11日目に腹部大動脈瘤切除,人工血管置換術を行った.経過は良好で術後26日目に退院となった.手術治療により消化管通過障害は解除され,また動脈瘤治療も確実に行うことができた.