日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
大動脈基部置換術後,非吻合部人工血管仮性動脈瘤を来した漏斗胸を有するマルファン症候群の1例
盆子原 幸宏瀨田 博允東舘 雅文
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 22 巻 5 号 p. 809-812

詳細
抄録

要  旨:近年,心臓血管外科手術後の非吻合部人工血管仮性瘤の発症は非常に稀である.今回われわれは,ベントール手術および部分弓部大動脈人工血管置換術後1年4カ月に,巨大非吻合部人工血管仮性瘤を発症した症例を経験した.症例は27歳男性.人工血管破裂部は,ヘマシールド4分枝人工血管の左側前面で,前回手術で何ら手を加えられていない部分であった.患者はマルファン症候群で漏斗胸を合併しており,破裂の原因として,人工血管と胸骨ワイヤーとの機械的摩擦が強く疑われた.このような症例においては,胸骨裏面との機械的接触を防止するために,厚手の人工心膜を用いた前縦隔の保護や,金属ワイヤーを用いない胸骨閉鎖法などが考慮されるべきである.また,長期にわたる定期的なCT検査によるフォローアップが必要である.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top