要 旨:症例は慢性腎不全血液維持透析中の81歳男性で,2004年に最大短径60 mmの腎動脈下腹部大動脈瘤に対して他院にてDacron製Y型人工血管置換術を受けた.2012年に突然の腹痛を認めたため前医で精査したところ,CT検査にて置換された人工血管部分から造影剤漏出を認めたため当院に転院.高齢で2度の開腹歴のある慢性腎不全患者というハイリスク症例であったためステントグラフト内挿術を第一選択とした.大動脈造影で造影剤漏出を確認し,ExcluderTMにて治療し確認造影で造影剤漏出消失を確認し手術終了とした.術後1年のCT検査で造影剤漏出は消失し瘤径縮小を認め経過良好である.人工血管置換術後遠隔期合併症の一つである人工血管断裂による非吻合部仮性動脈瘤は稀な合併症であるが,ステントグラフト内挿術による治療は有効であると考えられた.