日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
Neurofibromatosis type 1 に合併した腹部大動脈破裂の1 例
白川 元昭西山 元啓
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2014 年 23 巻 3 号 p. 704-707

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抄録

要旨:症例は58 歳男性.家族歴のあるneurofibromatosis type 1(以下NF 1)の患者.これまで重篤な合併症なく社会生活を送ってきた.仕事中に急に左下腹部痛を自覚,救急搬送された.左下腹部を中心に強い圧痛と膨隆を認め,CT 検査にて腹部大動脈の破裂と診断し,緊急手術を施行した.後腹膜の厚い索状組織のため腹部大動脈到達に時間を要し,組織が脆弱なためか腰動脈の止血に難渋した.索状組織は病理検査にてNF-1 に特徴的な蔓状神経線維腫と診断された.NF-1 に合併する大動脈瘤は硬化性変化が主体で成績は良好とされる一方,自然破裂例においては,開腹術において血管壁の脆弱性や周囲組織の易出血性のため不幸な転帰をたどった報告やステントグラフト内挿入術後の再手術の報告等がみられた.NF-1に伴う動脈病変に対しては,動脈壁自体の脆弱性や動脈周囲の合併病変の可能性も念頭に治療計画を立てる必要がある.

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