日本血管外科学会雑誌
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症例
間歇性跛行で発症した外腸骨動脈外膜囊腫の1 例
夏目 佳代子山本 希誉仁田中 敬三平岩 卓根田中 國義
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2014 年 23 巻 3 号 p. 712-715

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抄録

要旨:外膜囊腫は膝窩動脈での発生が多く,外腸骨動脈での報告は極めて稀である.われわれは間歇性跛行で発症した外腸骨動脈外膜囊腫の手術例を経験したので報告する.症例は43 歳,女性.1 カ月前より間歇性跛行を認め,近医を受診した.左ABI 0.82 と低下,造影CT にて左外腸骨動脈の狭窄を認めた.当院に紹介され,血管内超音波にて狭窄部位は血管外の液性成分に圧排され,囊胞性病変が示唆されたため,手術を施行した.術中所見では左外腸骨動脈外膜に密着する囊胞性病変を認め,囊胞は背側へ連続しており,囊胞切除を含めた外腸骨動脈の切除および人工血管置換術を行った.病理所見では,外弾性板外側に囊胞性病変を認め,外腸骨動脈外膜囊腫と診断した.術後ABI は0.98 と改善,症状も消失した.成因についてはさまざまな仮説があるが,本例では囊腫は背側に連続しており,股関節包との繋がりが示唆され,滑膜囊胞に起源する可能性が考えられた.

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