2014 年 23 巻 4 号 p. 788-791
要旨:症例は71 歳女性.左第1,2 趾のチアノーゼが出現し,超音波検査で前後の脛骨動脈の閉塞と診断され紹介となった.造影CT 検査で左殿部に最大径3 cm の壁在血栓を伴う遺残坐骨動脈瘤を認め,左内腸骨動脈から遺残坐骨動脈を経て膝窩動脈以下が灌流されていた.緊急血管造影で膝窩動脈以下の末梢動脈に有意狭窄を,前後の脛骨動脈は血栓性閉塞を認めた.これに対し,緊急カテーテル治療による血栓除去,血管形成術を施行して,37 病日,待機手術で左大腿動脈-膝窩動脈バイパス術を行い,動脈瘤に対してコイル塞栓術を行った.術後1 年6 カ月の造影CT,超音波検査では異常所見は認めず経過している.本症例では,虚血に対して緊急カテーテルによる血流再開後に二期的に遺残坐骨動脈瘤の治療を行い,良好な結果を得た.外科治療とカテーテルインターベンションによるハイブリット治療が低侵襲で効果的な治療法と考えられた.