日本血管外科学会雑誌
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症例
消費性凝固障害を合併した腹部大動脈瘤の治療経験
山崎 真敬蜂谷 貴花井 信田口 真吾小野口 勝久佐々木 達海
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2014 年 23 巻 5 号 p. 860-864

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抄録

要旨:瘤内の血栓形成により生じた慢性消費性凝固障害を合併した腹部大動脈瘤の2 例を経験した.症例1 は78 歳男性で,右下腿の筋内血腫を呈し来院され,70 mm 大の腹部大動脈瘤および76 mm 大の右総腸骨動脈瘤を認めた.症例2 は76 歳男性で,76 mm 大の腹部大動脈瘤を認め,左側胸腹部に広範な皮下出血と左小脳出血を伴っていた.両症例とも血小板数低下と凝固線溶異常を認め慢性消費性凝固障害によるDIC と診断し,抗凝固療法を開始した.症例1 は入院後22 日目に人工血管置換術を施行し,経過は良好であった.症例2 は入院後38 日目にステントグラフト内挿術を施行したが,内挿後,瘤内の血栓形成が急速に生じたためと考えられる消費性凝固障害を認め術後出血に難渋した.術前より消費性凝固障害を認める場合,ステントグラフト内挿術は術後の凝固障害が人工血管置換術よりも強く現れる可能性が考えられたので,若干の文献的考察を加え報告する.

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