日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
穿刺による内シャント静脈仮性瘤に対し穿孔部のパッチ形成術を施行した1 例
達 和人上江洲 徹洲鎌 盛一野村 敬史真栄平 直也加藤 誠也
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2014 年 23 巻 6 号 p. 904-909

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抄録

要旨:症例は41 歳女性.38 歳時より,糖尿病性腎症にて透析を導入された.左肘窩部で自家動静脈吻合により作成された内シャントにより透析が施行されていたが,40 歳時より左上腕中央部のシャント静脈に瘤化が認められるようになった.その後徐々に鶏卵大まで増大し,疼痛も出現するようになり当院紹介受診となった.血管エコー検査では瘤はシャント静脈が最大径4 cm まで拡大したものであり,瘤内への血液流入ジェットを認め,仮性瘤が疑われた.破裂の危険が高く,準緊急手術を施行した.瘤の上流・下流側のシャント静脈を確保しクランプした後,瘤の拍動が消失することを確認した.瘤周囲には軽度の癒着があったが,剝離を進め,瘤を露出した.瘤を切開後,内部には大量の器質化血栓を認め,血栓と瘤壁を完全に除去するとシャント静脈に約3×1 cm 大の欠損孔を確認した.感染徴候はなく,一期的な内シャント再建が可能と判断した.瘤孔周囲のシャント静脈の壁が厚く,石灰化もなく性状が良好であったため,PTFE グラフトを切り開いて楕円形にトリミングし,パッチ形成術を施行した.術後,造影CTを施行し再建部位に問題はなかったが,左鎖骨下静脈に狭窄を認めたため,同部位にステント留置,経皮的血管形成術施行後に軽快退院となった.

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