2014 年 23 巻 7 号 p. 964-971
要旨:【目的】本治験は下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術(EVLA)における波長1470 nm レーザーの有効性および安全性の評価を目的として多施設共同並行群間比較試験として実施した.【対象と方法】2012 年9 月から2013 年3 月にEVLA を施行された下肢静脈瘤患者113 例(113 肢)を対象とし,波長1470 nm レーザーとradial 2ring fiber を使用したI 群(57 肢)および波長980 nm レーザーを使用したE 群(56 肢)に無作為に割り付けた.術後12 週における治療静脈の血流遮断率,術後疼痛の有無,疼痛のvisual analogue scale(VAS),皮下出血の有無を評価した.【結果】血流遮断率は両群100%で,疼痛(0%vs. 25.0%)および皮下出血(7.0% vs. 57.1%)はI 群で有意に少なかった(p<0.0001).疼痛のVAS 最高値はI 群6.3±9.6,E 群22.8±19.0 で,I 群で有意に低値であった(p<0.0001).疼痛のVAS の推移は術後2 週目までI 群で有意に低かった.有害事象はendovenous heat-induced thrombusのclass 2 がI 群1 例,E群2 例,class 3 がI 群1 例,E 群1 例認められたが,深部静脈血栓症は認められなかった.【結論】波長1470 nm レーザーとradial 2ring fiber によるEVLA は,従来の波長980 nm レーザーとbare-tip fiber によるEVLA と比較して術後の疼痛と皮下出血を有意に減少させ,安全で低侵襲な治療であると考えられた.