日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
Coil 塞栓が奏功し救命し得た気管切開後気管腕頭動脈瘻の1 例
合志 桂太郎森本 和樹木谷 公紀高橋 章之森下 博之
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2015 年 24 巻 2 号 p. 103-107

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抄録

要旨:気管腕頭動脈瘻は気管切開後の合併症として発生頻度は低いが非常に致死率が高い疾患である.救命のためには早期の一次止血を得ることが重要であり,出血性ショックや呼吸機能低下などのために手術加療に至れない症例も多く救命することが困難な疾患である.症例は25 歳,男性.3 年前に気管軟化症に対し気管切開を施行されていた.自宅にて気管切開孔より多量の出血を来し近医に救急受診となった.気管内挿管に切り替え,カフで一次止血を得た状態で当院へ搬送されたが,血液誤嚥のために呼吸状態が著しく悪化しており,全身麻酔導入不可と判断された.全身状態改善のためには安定した止血の維持が必要であり,局所麻酔下に腕頭動脈coil 塞栓術を施行し,1 週間後に全身麻酔下に腕頭動脈離断術を施行し救命に至った.腕頭動脈coil 塞栓術は気管腕頭動脈瘻の一時的止血法として有効な手段であると考えられた.

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