日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
止血デバイスによる感染性仮性大腿動脈瘤の2 治験例
後藤 芳宏澤田 幸史小川 真司小山 裕馬場 寛大川 育秀
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 24 巻 2 号 p. 95-98

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抄録

要旨:近年,カテーテル治療後に止血デバイスが使用されるが,合併症として感染,仮性動脈瘤などが挙げられる.止血デバイスによる感染性仮性大腿動脈瘤の2 例を経験した.症例1 は82 歳男性.前医で血管形成術後の鼠径部に止血デバイスを用いた.その後穿刺部に発赤腫脹を認め,仮性動脈瘤の診断で手術目的に紹介となった.感染は広範囲で,血管壁は破壊されており,感染巣のデブリードメントと静脈を用いたバイパス術を施行した.術後経過良好で前医転院となった.症例2 は60 歳男性.前医で血管形成術後の止血にデバイスを使用した.術後に穿刺部感染を認め抗菌薬投与を行うも改善なく,紹介となった.感染は症例1 よりも広範囲であり,感染部のデブリードメントと人工血管を用いた非解剖学的バイパス術を施行した.感染の再燃なく退院となった.止血デバイスによる感染性動脈瘤に対して徹底したデブリードメントと血行再建を施行し良好な結果を得た.

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