日本血管外科学会雑誌
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症例
急性肺血栓塞栓症に対するPCPS 下での血栓摘除術の1 例
澤田 雅志星野 竜平本 明徳小柳 俊哉
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2015 年 24 巻 5 号 p. 827-831

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抄録

要旨:症例は68 歳女性.呼吸困難を主訴に当院へ救急搬送された.入院時,循環・呼吸不全を呈し,造影CT にて,急性肺血栓塞栓症と診断された.緊急カテーテルによる血栓吸引は困難で,PCPS(経皮的心肺補助装置)を導入,血栓溶解療法を施行した.しかし直後から,PCPS 刺入部からの出血が続き,流量を維持するために大量の輸血を要した.それでも出血傾向が続き,循環不全・呼吸不全は悪化していた.第2 病日の造影CT にて,肺血栓は右主肺動脈に残存していたため,外科的治療の適応と判断し,緊急手術となった.出血合併症の助長を回避するために,通常の人工心肺は用いず,PCPS 下での血栓摘除術を施行した.手術室でPCPS を抜去し,術後15 日目に人工呼吸器から離脱でき,術後45 日目独歩退院となった.

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