日本血管外科学会雑誌
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症例
右大腿内側杙創からの大量出血によるショック状態を呈した症例に対し,緊急手術を行い救命かつ救肢できた1 例
親松 裕典中山 雅人
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 24 巻 5 号 p. 832-835

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抄録

要旨:コントロール不能な出血を伴う血管外傷では迅速な止血処置が救命に必要である.また,四肢の血管外傷では機能的予後についても考慮すべきである.症例は43 歳男性,就労中に金属棒により右大腿部杙創を受傷した.救命処置を施されながらドクターヘリで搬送された.当院到着時,出血は続いておりショック状態であるため緊急手術を行った.浅大腿動静脈が離断されていたため,大伏在静脈グラフトでそれぞれ血行再建を行った.術後に下肢腫脹はなく,リハビリにより歩行機能をとり戻して,独歩で退院となった.バルーンカテーテルを用いた早急な止血と比較的短時間で自家血管グラフトを用いて浅大腿動静脈の血行再建を行ったことで,術後にコンパートメント症候群などの合併症なく,救命と良好な機能的予後を得ることができた.四肢血管外傷では患者の生命と機能的予後を守るためには,迅速な止血,血行再建かつ術後の合併症の予防が重要である.

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