2015 年 24 巻 5 号 p. 814-817
要旨:感染性大動脈瘤と大動脈食道瘻は致命率の極めて高い疾患である.今回われわれはTEVAR後,二期的に食道切除・消化管再建術のみを施行し大動脈瘤壁の切除を行うことなく救命し得た症例を経験したので報告する.症例は74 歳,男性.嚥下困難,発熱,頸部皮下血腫を認め,CT で胸部下行大動脈瘤破裂と診断し,Gore TAG ステントグラフト内挿術を施行した.来院時血液培養からCampylobacter fetusが検出され感染性胸部下行大動脈瘤破裂および大動脈食道瘻と確定診断し,抗生剤投与を開始した.抗生剤治療を継続し感染のコントロールが良好な状況で,TEVAR 術後36 日目に食道切除・再建,大網充填術を施行した.その後も抗生剤点滴を1 カ月間継続し,炎症反応の上昇もなく入院67 日目に退院となった.TEVAR 術後1 年が経過した現在も感染の再燃はなく経過良好である.