日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
急性B 型大動脈解離により,急性食道壊死をきたした1 例
景山 聡一郎大橋 壮樹只腰 雅夫古井 雅人内野 学小谷 典子
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2015 年 24 巻 5 号 p. 818-821

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抄録

要旨:大動脈解離に合併する臓器虚血は,肋間動脈,腹腔動脈,上腸間膜動脈,腎動脈,下肢などが一般的であるが食道壊死の報告はきわめて稀である.今回,急性B 型大動脈解離の保存的加療中に,急性食道壊死を合併した症例を経験した.症例は78 歳の女性で,背部痛を主訴に受診しCT 検査にて急性B型大動脈解離と診断された.入院時の画像検査では偽腔閉塞型で大動脈径の著明な拡大はなく,明らかな臓器虚血症状はきたしていなかった.しかし第4 病日から呼吸苦が出現し,再度のCT 検査および上部消化管内視鏡検査にて食道壊死に伴う縦隔炎,ARDS と診断された.敗血症性ショックとなったため,外科的ドレナージを行い感染症の治療を続けたが,縦隔食道瘻を合併し,第22 病日に失った.急性食道壊死は非常に稀であるが,発症すると非常に重篤な疾患であり,急性大動脈解離に合併する可能性があることを常に念頭に置いた管理が必要と思われる.

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