2015 年 24 巻 6 号 p. 871-874
要旨:症例は67 歳男性.50 歳時に両下肢血流障害の精査で発症時期不明の偽腔開存型B 型大動脈解離および腹部大動脈-両側腸骨動脈閉塞を認めた.primary entry は遠位弓部にあり上腸間膜動脈・右腎動脈は真腔,左腎動脈は偽腔から灌流され,腹腔動脈は起始部で閉塞し,真腔・偽腔とも腎動脈が終末枝であった.下肢血流障害に対して右腋窩動脈-両側大腿動脈人工血管バイパス術を施行.術後17 年目のCTで遠位弓部の偽腔拡大と下行大動脈の偽腔に囊状瘤を認め,ステントグラフトでprimary entry 閉鎖を行う方針とした.アクセスルートは腋窩動脈で,18Fr シースで留置可能なAorta Extender を選択.全身麻酔下に左腋窩動脈からシースを挿入,Aorta Extender を4 本積み上げてprimary entry 閉鎖を行った.術後造影CT では偽腔内に造影剤の流入を認めず.術後28 日目に独歩退院となった.