日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術後の炎症におけるステロイドの抑制効果に関する検討
丸田 一人青木 淳尾本 正飯塚 弘文川浦 洋征
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2015 年 24 巻 6 号 p. 861-865

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抄録

要旨:【目的】腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR)後には,頻繁に高熱や炎症反応の上昇を認める.われわれはEVAR 術後の炎症に対するステロイドの有用性を検討した.【方法】2009 年8月より2014 年8 月まで当院で腹部大動脈瘤に対して待期的に施行したEVAR 90 例を対象とし,メチルプレドニゾロン1000 mg を麻酔導入時に投与したS 群と,投与しなかったC 群に分けて,患者背景(年齢,性別,瘤径,手術時間)と経過(白血球数,CRP,体温)および食事摂取量について比較検討した.【結果】年齢,性別,瘤径,手術時間に有意な差はなく,全例で術後感染症は認めなかった.白血球数はいずれの時期でも有意な差は認めなかったが,CRP は第1,3,5 病日で有意にS 群が低値であった.体温も第1,2,3 病日で有意にS 群が低くかった.【結論】ステロイドの使用は術後感染症を生じることなく使用しなかった群と比較して術後の早期炎症を抑制することができた.

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