日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
胸部大動脈内膜肉腫による下肢急性動脈閉塞の1 例
鈴木 佑輔小ヶ口 恭介坂元 和宏岩間 憲行関野 美仁並木 健二
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2015 年 24 巻 6 号 p. 921-925

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抄録

要旨:症例は69 歳女性.高血圧,高脂血症にて内服加療中.2 年前より両下肢の疼痛,蒼白を認め近医で加療されていた.右下肢の症状が増悪し当科受診.両下肢の疼痛,蒼白,右下肢の知覚異常,軽度の運動麻痺,右第4,5 趾間部に潰瘍を認めた.造影CT では右下肢は膝窩動脈以下の閉塞と左下肢は後脛骨動脈近位と前脛骨動脈遠位に狭窄を認め,また胸部下行大動脈の不整像を認め,胸部大動脈血栓症が疑われた.右下肢急性動脈閉塞の診断にて塞栓除去術を施行した.その後抗凝固療法中にも関わらず右下肢の微小塞栓症を繰り返したため,胸部大動脈血栓症に対し下行大動脈人工血管置換術を施行した.病理組織学検査で大動脈内膜肉腫の診断だった.本症例では内膜肉腫の一部が塞栓子となり下肢急性動脈閉塞を発症したと考えられた.

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