日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術によりStanford B 型大動脈再解離が発生した1 例
三重野 繁敏吉井 康欣東 修平森田 雅文
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2015 年 24 巻 7 号 p. 1017-1020

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抄録

要旨:真性腹部大動脈瘤(AAA)に対する腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)後にStanford B型大動脈再解離を生じ,胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)と腹腔動脈にカバードステントを留置し,偽腔の完全血栓化に成功した症例を経験した.症例は64 歳,男性.造影CT 検査で血栓閉塞型Stanford B 型急性大動脈解離と最大径53 mm のAAA の診断を得た.入院32 日目にAAA に対してEVARを行った.術後8 日目,突然の腹部違和感を訴えた.CT 検査で遠位弓部から上腸間膜動脈分岐部の大動脈まで直径40–45 mm の偽腔開存型再解離を認め,腹腔動脈にも解離が進展していた.その3 日後にTEVAR と腹腔動脈にPalmaz stent を留置した.その4 日後のCT 検査で腹腔動脈のステント末梢から残存偽腔血流を認め,再解離発症後66 日目にカバードステントを留置し,偽腔は完全血栓化された.

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