2016 年 25 巻 p. 53-56
要旨:慢性大動脈解離に対するステントグラフト治療においては,偽腔血流が残存して,期待通りの大動脈リモデリングが得られない症例が存在する.われわれは,胸部大動脈ステントグラフト内挿術(以下TEVAR)後に残存した偽腔血流に対して二期的にCandy plug 法を用いて偽腔閉鎖を必要とした症例を経験した.症例は49 歳女性.B 型大動脈解離発症10 年後に遠位弓部のentry に対してTEVAR を行ったが,腹部大動脈のre-entry からの偽腔内血流が多くて偽腔の血栓化が得られなかったので,初回TEVARから2 カ月後にCandy plug 法による偽腔閉鎖を行った.術後の経過は良好で偽腔は術直後から血栓化し,術後半年のCT で大動脈と偽腔径は退縮した.Candy plug 法は,慢性大動脈解離に対する治療法の一つになりえると考える.