日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腹腔動脈および上腸間膜動脈狭窄を伴った総肝動脈瘤に対して二期的ハイブリッド治療を行った1 例
山浦 一宏福井 大祐樋口 佳代子恒元 秀夫
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2016 年 25 巻 p. 255-259

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抄録

要旨:症例は85 歳女性.80 歳時,偶然腹部CT にて23 mm 大の総肝動脈瘤を指摘された.動脈瘤は総肝動脈末梢側に存在し,固有肝動脈および胃十二指腸動脈は瘤から分岐し,腹腔動脈および上腸間膜動脈の起始部に狭窄を認めた.その後5 年の経過観察中,緩徐に拡大した後,根治治療前半年で約3 mm の拡大があり,31 mm 大となったため根治的治療の適応と判断した.腹腔動脈および上腸間膜動脈の狭窄病変は,術前の超音波検査においてそれぞれ最大血流速度が上昇し,有意な血流低下を認めた.治療は,まず腹腔動脈および上腸間膜動脈に対しステントを留置による血行再建を行った後,二期的に開腹下総肝動脈瘤切除術および総肝動脈-固有肝動脈再建術を行った.術後経過は良好で,現在2 年以上経過しているが,とくに問題を認めていない.計画的にハイブリッド治療を行うことにより,低侵襲化と合併症リスクの低下が得られたと考えられた.

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