2016 年 25 巻 p. 233-239
要旨:【目的】慢性B 型大動脈解離(cTBD)に対するTEVAR において大動脈リモデリングを含めた治療成績について検討した.【方法】cTBD に対するTEVAR 38 施行例を対象とした.発症後2 週から4 カ月を慢性早期群16 例,4 カ月以降を慢性後期群22 例に分類し,両群で治療成績と大動脈リモデリングについて検討した.【結果】両群とも術後対麻痺,脳梗塞,在院死亡は認めず,complicated case では病状の進行を防ぐことができた.偽腔開存症例の胸部偽腔の血栓化は両群とも100%であったが,偽腔の完全縮小は慢性早期群60%,慢性後期群11%で,慢性早期は慢性後期群より有意に偽腔の完全縮小が得られた.【結論】cTBD に対しTEVAR を行い良好な中期成績を得た.発症後4 カ月目までの慢性早期にTEVAR を行った群では良好な大動脈リモデリングが得られた.