2017 年 26 巻 2 号 p. 135-138
膝窩動脈瘤は末梢動脈瘤の中で最も頻度が高く,急性発症では破裂よりもむしろ閉塞機転が多く,下肢切断のリスクも高い.手術は血行再建を必要とするが,大伏在静脈グラフトまたは人工血管を用いることが一般的である.今回,われわれは下肢静脈瘤を伴う膝窩動脈瘤症例に対し,浅大腿静脈グラフトを使用し,後方アプローチによる膝窩動脈置換術を施行した.82歳女性,径30.1 mmの左膝窩動脈瘤の診断で,手術を施行した.術後,左下肢の腫脹は一時見られたが,速やかに改善.術後CTでグラフトは開存しており,浅大腿静脈グラフトの径も膝窩動脈と同等であった.