日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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症例
腹部大動脈瘤人工血管置換術後に発症した中結腸動脈破裂の1例
森嶋 素子 本田 二郎高橋 賢一朗
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 26 巻 2 号 p. 139-142

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抄録

症例は78歳男性.腎動脈下腹部大動脈瘤に対して正中小開腹アプローチによるYグラフト置換術を施行した.術後第1病日,夕方ベッド上安静時に突然のショックバイタルとなった.造影CTにて横行結腸背側に腹腔内血腫が確認された.バイタルサイン安定後に血管造影を施行し,中結腸動脈に約1 cmの囊状動脈瘤と数珠状の拡大と狭窄を認めたが明らかな造影剤の漏出は認めなかった.貧血の進行も軽度であり保存的経過観察を行ったが,第2病日に再びショックバイタルとなり緊急開腹術を施行した.拡張した中結腸動脈は長軸方向に3 cm程裂けており,これを止血した.その後の経過は良好で術後第18病日に独歩退院した.画像所見より,中結腸動脈破裂にはSAMが関与していると考えられた.先行した腹部大動脈瘤手術は解剖学的に離れた位置ではあるものの,囊状動脈瘤形成の誘因になった可能性も否定はできない.

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