2017 年 26 巻 5 号 p. 235-239
【目的】バスキュラーアクセス手術における超音波ガイド下腋窩神経ブロック法(ultrasound-guided axillary nerve block: US-ANB)の表在静脈拡張効果とその意義を検討した.【方法】2016年7月から2017年4月までにUS-ANBを行ったバスキュラーアクセス手術78例を対象とし,ブロック前後の尺側皮静脈径・静脈拡張率などを検討した.【結果】ブロック前後で尺側皮静脈径は3.0±1.1 mmから4.1±1.2 mmへと有意に拡張し(p<0.001),静脈拡張率は143±34%であった.静脈拡張効果により人工血管内シャント作成症例の92%で尺側皮静脈への吻合が可能であった.【結論】US-ANBによって表在静脈は有意に拡張し,吻合静脈の選択と吻合手技が容易になることが示された.US-ANBはバスキュラーアクセス手術における麻酔法の有効なオプションであると考える.