日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
臓器灌流障害を伴う逆行性StanfordA型急性大動脈解離に対して,ベアステントを併用しTEVARを施行した1例
増田 貴彦 畑 正樹山谷 一広鈴木 智之寺尾 尚哉
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2017 年 26 巻 5 号 p. 255-258

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抄録

下行大動脈にエントリーを有する逆行性StanfordA型急性大動脈解離(RTAAD)に対しては,胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)によるエントリー閉鎖の有効性も報告されている.症例は胸背部痛で発症した52歳男性で,RTAADと診断されたが,上行大動脈の偽腔は血栓化しており保存的加療が選択された.徐々に抵抗性高血圧,腎不全,呼吸不全が進行し,造影CTで真腔狭小化の増悪あり,発症8日目にTEVARを行った.Gore Conformable TAG(CTAG)を左鎖骨下動脈からrapid pacing下に展開し,その末梢にCook Zenith Dissection stentを両側腎動脈下まで留置した.術後経過は良好で,術後24日目に独歩退院となった.上行大動脈の偽腔は遠隔期に退縮,消失した.臓器灌流障害を伴ったRTAADに対して,ベアステントを併用しTEVARを行い,良好な結果を得た.

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