日本血管外科学会雑誌
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症例
心肺停止に至る肺血栓塞栓症にて発見された膝窩静脈性血管瘤に対する1手術例
小齊 啓祐岡留 淳 星野 祐二加藤 誠也伊東 啓行
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2018 年 27 巻 1 号 p. 65-68

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抄録

膝窩静脈性血管瘤は稀な疾患であり,無症状であることが多いが,肺血栓塞栓症の原因となりうる.今回肺血栓塞栓症による心肺停止を機に診断された膝窩静脈性血管瘤の1手術例を経験したので報告する.50歳女性.心肺停止状態で倒れているところを発見され,当院救急搬送となった.心肺蘇生にて自己心拍再開し,心エコー検査で右心負荷所見,造影CTで肺血栓塞栓症を認め,経皮的心肺補助(PCPS)下に血栓溶解療法を行った.PCPS離脱後の下肢静脈エコー検査・造影MRI検査で右膝窩静脈に多量の血栓を伴う60 mm大の囊状の膝窩静脈性血管瘤を認め,肺血栓塞栓症の原因と考えられた.下大静脈フィルター留置後,第24病日に右膝窩静脈性血管瘤切除術を施行した.術後抗凝固療法としてワーファリンの内服を開始し,現在に至るまで静脈瘤・肺血栓塞栓症の再発は認めていない.

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