日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
左房内破裂をきたした梅毒性上行大動脈瘤の1救命例
岸本 憲明生田 剛士藤井 弘史木村 英二井上 和重清水 幸宏
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2018 年 27 巻 1 号 p. 33-37

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抄録

症例は48歳男性.突然の胸痛と発熱,呼吸困難で当院に救急搬送された.単純CTでは著明な肺鬱血を認め,明らかな上行大動脈瘤などの所見はなかった.その後呼吸・循環動態が急速に悪化し,気管内挿管を行った.救急外来での経胸壁心エコー検査にて左心房へのシャント血流を思わせる所見を認め,心内膜炎による左房へのシャントによる急性心不全を疑い,緊急手術を行った.上行大動脈基部に右心房,上大静脈を圧迫する囊状大動脈瘤を認めた.大動脈瘤を切開すると,後壁に左心房への廔孔を形成する仮性瘤を認めた.廔孔周囲の脆弱組織を切除し直接縫合で破裂孔を閉鎖した後,大動脈基部置換術を行った.術後3年の現在,再発もなく状態は良好である.梅毒性大動脈瘤の左房破裂の報告は過去に2例しか報告がなく,極めて稀な病態である.われわれの経験不足もあり,早期に梅毒性大動脈瘤と診断できなかったことから,その問題点も含めて文献的考察を行い報告する.

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