日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
血管アクセスのCephalic Arch Stenosisに対する上腕尺側皮静脈への血行路変更
大矢 薫 曽川 正和
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 27 巻 5 号 p. 377-380

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抄録

Cephalic arch stenosisを3例経験し,内2例に対し外科的修復術を行った.82歳女性と76歳男性で,いずれも右前腕に人工血管を用いてループ状にバスキュラーアクセスが造設され,人工血管が橈側皮静脈に吻合されていた.造設後それぞれ10カ月,42カ月後にcephalic arch stenosisに対する手術を行った.手術は,人工血管の静脈吻合側付近を離断し,人工血管から上腕尺側皮静脈に新たな人工血管を用いて血行路変更を行うtransposition法を行った.術後,透析時の返血圧が低下し,上腕動脈の血流量も増加し,血管抵抗指数も低下した.外科的治療は,さまざまな方法が報告されているが,より末梢で行うtransposition法は,中枢側の静脈を温存しているため,今後バスキュラーアクセス合併症が生じた際に,温存されている中枢側で再建できる可能性があるため有用と考えられた.

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