2018 年 27 巻 6 号 p. 481-484
症例は74歳,男性.1年前に右下肢閉塞性動脈硬化症に対し,人工血管を用いて右大腿動脈–膝窩動脈バイパス術を施行.半年後にバイパスグラフトの閉塞を来たし,その数日後にグラフト中枢側吻合部に仮性動脈瘤を形成したため,血栓除去と仮性動脈瘤の修復術を施行.その後外来にて経過観察中,同部に仮性動脈瘤の再発を認めた.徐々に瘤の拡大を認め手術適応と判断.しかしながら,患者および家族が手術は希望せず,過去3回の手術で重度の癒着が予想され,仮性動脈瘤も巨大で直達手術は困難と思われたため,Vein-covered stentによる血管内治療を選択した.術後経過は良好で,仮性動脈瘤は縮小した.冠動脈ステントと大伏在静脈によるVein-covered stentを用いた血管内治療の報告は極めて稀であり,有用な一手段と考え報告する.