日本血管外科学会雑誌
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血管外科手術アニュアルレポート2013年
血管外科手術アニュアルレポート2013年
日本血管外科学会データベース管理運営委員会NCD血管外科データ分析チーム
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 28 巻 4 号 p. 273-292

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抄録

2013年に日本で行われた血管外科手術について,日本血管外科学会データベース管理運営委員会が集計結果を解析し,アニュアルレポートとして報告する.【方法】NCDの血管外科手術データに基づき,全国における血管外科手術動向およびその短期成績(術死,在院死亡)を解析した.【結果】2013年にNCDに登録された血管外科手術は100,470件であり,1,045施設からの登録があった.このデータベースは,7つの血管外科分野すなわち動脈瘤,慢性動脈閉塞,急性動脈閉塞,血管外傷,血行再建合併症,静脈手術,その他の血管疾患からなっており,それぞれの登録症例数は,19,439, 13,276, 4,688, 1,563, 1,777, 37,643, および23,971例であった.腹部大動脈瘤(含む腸骨動脈瘤)は16,694例で,その52.9%がステントグラフト(EVAR)により治療され,初めて過半数を超えた.1,598例(9.6%)の破裂例を含んでおり,手術死亡率は破裂,非破裂で,それぞれ17.9%,1.0%であった.破裂症例に対するEVARは25.5%を占め,比率が年々増加しているが,置換術とEVARの手術死亡率はそれぞれ16.1%と15.8%であり,初めて有意差がなくなった.慢性動脈閉塞症は,重複を含み13,276例登録され,open repair 7,437例(うちdistal bypass 1,121例),血管内治療5,839例が施行された.血管内治療の割合が2012年39.8%より2013年44.0%へ増加している.静脈手術の内訳は,下肢静脈瘤35,986例,下肢深部静脈血栓症506例などであった.その他の手術として,バスキュラーアクセス手術22,572例,下肢切断1,185例が登録された.【結語】2012年と比較して,全領域において血管内治療が増加しており,とくに動脈瘤に対するステントグラフト内挿術,慢性動脈閉塞症に対する血管内治療や下肢静脈瘤に対するレーザー焼灼術の増加が目立った.

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