2020 年 29 巻 2 号 p. 67-70
症例は55歳男性で,慢性腎不全で維持透析療法を行っている患者であった.CT検査で51 mm大の左腎動脈瘤と13 mm大の右腎動脈瘤を指摘された.透析やSLEなどの背景から開腹手術より血管内治療を選択した.ステント-グラフトとコイル塞栓術を併用し,両側腎動脈本幹を塞栓し,同時に大動脈にステント-グラフトを内挿した(挟み撃ち法:pincer exclusion technique).術後の経過は良好で,経過観察のCT上endoleakなどの合併症を認めず,術後10日目で退院した.腎動脈瘤に対して腎動脈本幹の塞栓術とステント-グラフトを併用した症例はわれわれが検索し得る範囲ではまだ報告例がないが,元々腎機能が廃絶している症例では可能かつ有効であると考えられた.