日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
ステントグラフト内挿術後に結核性感染性腹部大動脈瘤と診断され遠隔期に大動脈十二指腸瘻を形成した一例
林 秀行尤 礼佳 藤村 直樹林 応典原田 裕久
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2022 年 31 巻 3 号 p. 141-144

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抄録

腹部大動脈瘤(AAA)に対するステントグラフト内挿術(EVAR)後に結核性AAAと診断し,保存加療後に大動脈十二指腸瘻(aorto-duodenal fistula; ADF)を形成した一例を経験した.症例は84歳男性.膀胱癌にてBCG膀胱内注入歴がある.AAA急速拡大に対してEVARを行ったが,術後9カ月で瘤径が拡大し,type Vエンドリークと診断し再度EVARを行った.術後1カ月で発熱と瘤径拡大を認め,穿刺培養検査より結核性AAAと診断し,抗結核薬の投与を開始した.投与開始後7カ月目に発熱し,CT検査にて瘤内の遊離ガス像を認め,ADFを疑い開腹手術を行った.開腹所見にてADFを認め,瘻孔閉鎖,ステントグラフト部分抜去,大網充填術を施行した.BCG膀胱内注入歴のあるAAAは,結核性AAAの可能性に留意すべきである.また炎症が再燃した場合は,ADFの可能性がある.

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