2023 年 32 巻 4 号 p. 261-267
Marfan症候群などの遺伝性大動脈瘤・解離は,動脈硬化,高血圧,喫煙などの一般的リスク因子を伴わない若年者にも発症し,胸部大動脈に好発し,より小さい大動脈径でも解離のリスクがある,という特徴がある.こうした遺伝性大動脈疾患では,早期からの積極的な降圧剤治療による拡張抑制や,予防的大動脈人工血管置換術などの介入により,解離イベントの予防が可能とされ,遺伝子診断を活用した早期診断・早期治療介入が勧められている.より効果的な遺伝子診断のためには,検査前後の遺伝カウンセリングが重要である.