日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
胸部大動脈瘤,大動脈解離に対してIsolated Left Vertebral Artery再建併用ステントグラフト内挿術を行った2症例
坂下 英樹 善甫 宣哉大野 雅人神西 優樹植月 友彦岡田 隆之
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2023 年 32 巻 5 号 p. 357-361

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抄録

胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)において左鎖骨下動脈(LSA)再建の可否は議論の多いところであるが,術後対麻痺予防対策として椎骨脳底動脈血流を維持するLSA再建の有用性が報告されている.左椎骨動脈(VA)が大動脈弓部より直接起始する左椎骨動脈単独起始(ILVA)を有するzone 2 TEVAR 2例を経験した.症例1は遠位弓部大動脈瘤,症例2は急性型大動脈解離に対して上行・部分弓部人工血管置換術後(腕頭,左総頸動脈再建)で,術後CTにて末梢側吻合部近傍にエントリーを認めた.VAは症例1:左優位,症例2:左右同径であったが,左VAのみ脳底動脈へ吻合されており,手術はzone 2 TEVARと左総頸–LSAバイパスを行い,ILVAをバイパス人工血管へ吻合した.TEVARに際しILVAの閉鎖が必要である場合,脳梗塞や脊髄虚血予防効果の観点から原則再建するべきと考える.

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