一般的に下水道事業者が地方公営企業法を適用することによって消費税等の節税が可能となるといわれているが,現在,地方公営企業法適用へ向けて取り組んでいる相当数の下水道事業者にとっては,これは非常に関心の高い話題であろう.
法適用を行った下水道事業者に大きな節税効果を生じさせることが可能となるのは,公営企業の中でも特に下水道事業の決算規模が大きく,さらに他会計補助金の金額が多額であること,及び地方公営企業に認められる消費税法の政令等の規定が存在するためである.
本稿では,下水道事業者向けにこれらの規定の内容についての確認をおこない,採用する際の留意点等について述べている.また,法適用後,速やかに提出する必要があるとされる消費税法上の各種書類についても,さまざまな観点から疑問点等をあげた.なお,本稿の内容は,筆者の個人的な意見を多分に含むものであり,過去の事実等を述べた箇所以外は国税庁等の見解ではないことを十分にご理解いただきたい.