水環境学会誌
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原著論文
京都府由良川水系産メダカ南北集団の群れ行動の比較
魚野 隆濱口 昂雄久米 幸毅細谷 和海
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2011 年 34 巻 9 号 p. 109-114

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抄録

メダカは,遺伝的特徴によって北日本集団と南日本集団に大きく二分される。両集団は,京都府由良川水系において側所的に分布しているにもかかわらず,それぞれ純系を維持している。このことは,両集団間に生殖的隔離が成立していることを示唆している。そこで,両集団の生態的分化の程度を探る一環として,京都府由良川水系の南北集団を用いて,通常時と刺激を与えた時の群れ行動について比較実験を行った。通常時では,南日本集団は北日本集団より小さな魚群半径を形成した。しかし,4尾の場合では魚群半径にばらつきが見られた。刺激を与えた時では,南日本集団は一度分散した後,密集し,静止した。一方,北日本集団は活発に動いていたが,冬期に南日本集団と同様に静止することを確認した。以上の結果から,南北集団間で群れ行動が異なることが確かめられ,そのことから地域性を無視した放流は生態的地域固有性を失わせるものと危惧された。

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© 2011 公益社団法人 日本水環境学会
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