2016 年 39 巻 4 号 p. 121-125
排水管理方法として, OECD培地に排水を混合する5段階希釈でのムレミカヅキモ増殖阻害試験が提案されている。本研究では, 5ヶ所の工場排水80%とOECD培地20%の混合試料, 1/50海水相当濃度の塩添加排水80%とOECD培地20%の混合試料, 排水をOECD培地100%組成にした試料のムレミカヅキモ増殖阻害試験を行った。また, 4種類の化合物溶液で同様の試験を行った。その結果, 4種類の排水では共存無機塩類によって阻害率が大きく変化した。また, 亜鉛と銅ではOECD培地20%混合試料でOECD培地100%組成にした試料より阻害率が高くなり, DBSとアニリンでは同等か低くなった。すなわち, 希釈排水試験では, 無機塩類の濃度や組成が変化し, 希釈率と毒性との関係が不明確になると考えられた。したがって, 排水管理には, 無希釈排水に濃厚OECD培地を100%OECD培地組成になるだけ添加して試験し, 毒性の高い排水を放流しないようにする方法が適当と考えられた。