水環境学会誌
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調査論文
阿武隈川支流の堤外地表層における137Cs濃度の経時的変化
三上 剛史眞家 永光嶋田 浩塚田 祥文柿崎 竹彦馬場 光久高松 利恵子丹治 肇
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2016 年 39 巻 5 号 p. 171-179

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抄録

2012年から2014年にかけて, 福島県を流れる阿武隈川の2次支流である石田川 (根古屋) と, 1次支流である広瀬川 (界) の堤外地において, 表層底質の137Cs蓄積状況の変化を調査した。調査では, 同一地点の137Cs蓄積量の変化と河床の微地形変化を調べるため, 動的干渉測位 (RTK) GPSを用いた。福島第一原子力発電所の事故以降2014年の調査までに, 根古屋では完全に11回, 界では部分的に3回程度高水敷は冠水し, それを受け, 堤外地表層の137Cs蓄積量は上流域よりも大きく低下した。つまり, 137Cs蓄積量は, 根古屋では2012年から2014年に72±21%, 界では2013年から2014年に59±34%低下した。しかし, 根古屋は堆積地であり, 濃度は表層下30cmにかけて増加したことから, 出水時に河川に流出した137Cs濃度の低い土砂が, 高濃度の137Csを下層に埋没させたと考えられた。

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