水環境学会誌
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研究論文
湖沼における底泥酸素消費量測定法の開発と湖沼環境評価への応用
霜鳥 孝一今井 章雄高津 文人小松 一弘佐藤 貴之冨岡 典子篠原 隆一郎三浦 真吾奥居 紳也桐山 徳也岡本 高弘
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2017 年 40 巻 1 号 p. 21-29

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抄録

本研究では, 湖沼における新環境基準項目となる底層溶存酸素 (DO) の変動と密接に関係する底泥の酸素消費量 (SOD) の新規測定手法を開発した。本手法は, 表層構造を保った底泥のSOD測定が可能, 既存手法に比べ測定が短時間, 現地測定が可能という利点を有する。本手法を用いて, 霞ヶ浦, 琵琶湖北湖と南湖において, 各湖のSODの差や季節変動を明らかにした。琵琶湖南湖の水生植物繁茂水域では, SOD測定開始から急激なDO消費が観測され, 嫌気的環境下で底泥溶出する還元型の鉄やマンガンによるDO消費が推察された。しかし, 各湖の底泥中の鉄, マンガン含量とSODに有意な相関は見られなかった。一方, SOD測定後の直上水の分析から, 底泥溶出する鉄・リン量とSODの有意な相関が明らかとなった。本手法はSOD測定の改善に加え, 還元型金属イオンのSODへの影響評価も見込めるため, 湖沼環境研究の進展に貢献することが期待される。

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© 2017 公益社団法人 日本水環境学会
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