汚染源を対象とする浄化対策へ水処理システムを適用する場合, 水質変動への安全率や事業コストを考慮した合理的なシステムが求められる。合理的なシステムを構築するためには, 様々な実践データの蓄積が重要である。本論文では, 焼却施設解体工事の除染工程から発生する排水に対し, 現場において凝集沈殿処理, 膜ろ過処理, 促進酸化処理からなる水処理システムが適用された事例について報告する。当該処理システムにおいて, 重金属類は凝集沈殿処理および膜ろ過処理によって環境基準以下まで除去可能であった。ダイオキシン類については, 微粒子の凝集操作を適切におこなうことにより, 膜ろ過および促進酸化処理による除去性能が向上する傾向が見られ, 環境基準以下まで除去可能であった。合理的な水処理システムを適用するためには, 排水の発生過程と性状, 処理システム全体での除去特性を考慮して検討する必要があることを示した。