水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
中空糸精密濾過膜を利用した排水の生物処理システム
藤江 幸一新田 弘之浦野 紘平伊澤 哲夫室谷 憲男
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1991 年 14 巻 10 号 p. 737-746,657

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抄録
加圧空気の吹き込みによる膜汚染物質の除去 (空気逆洗) を特徴とする中空糸精密濾過 (HMF) 膜と好気性バイオフィルターを組み合わせた2つの生物排水処理システムを考案し, 透過流束, 有機物除去率, 所要動力および維持管理の観点から性能評価を試みた。都市下水の直接HMF処理では, 有機物除去率が70~85%となり, 少ないクロスフロー流速で1.3×10-5m・s-1を上回る透過流束が得られ, 空気逆洗および薬液洗浄は, HMFの透過流束向上に効果的であった。HMF濾液は固定層バイオフィルターによって, 余剰汚泥をほとんど生成することなく処理が可能であった。一方, 移動層バイオフィルターによる都市下水処理水のHMFによる高度処理では, 透過流束は2.5×10-5m・s-1に達し, 単位動力消費あたりに処理できるBOD量として定義される動力効率は, 都市下水処理場での実操業値に近くなっており, これらのシステムが再利用を目的とした排水の処理に適していることを明らかにした。
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© 社団法人日本水環境学会
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